山陰山陽放浪の旅〜プロローグ

はじめに

初夏のある日、仕事をしていたら上司に呼ばれた。入社二年目の先輩も一緒に。

君ら、夏休みいつとる?

私の会社では年に一回・夏に一週間の連続休暇が取れる。その代わりお盆休みは無い。大晦日と三が日以外の平日は全て出勤。なかなかファンキーな会社だ。そして、お偉方はお盆に休みを取りたがるため、必然的に我々下っ端は余った箇所に入るしかない。そう、相撲部屋の下っ端力士が、関取たちが食い終わった後のちゃんこ鍋にこびりついた残飯を、必死に口の中に掻き込むような感じです。

そして、残飯は二つ。7月2週目と3週目。夏休みにしては早い気もするが、私に選択肢は無い。無いのは分かっているが、先輩の顔色を伺い、目で訴える。もしよければ3週目を僕に譲ってくれませんか? だって、前後の休日と緩急接続することにより10連休になるんですから。ねぇ。もし譲ってくれなかったら、先輩が女の子に○○○されて○○した事をばらしますよ……?

結局、先輩は僕の願いを聞いてくれた。実に良い人だ。これでおおっぴらに10連休が取れるぞ。どこへ行こうか。そうだ、岡山に飛ばされた行ったぼうふら氏に会いに行こう。そしてそのついでに中国地方をぐるっと一周して。ついでに広島の歓楽街で遊……

そうと決まったら出発だ。さて、プランを練るか。

ところが、プランニングの途中でとんでもない問題にぶち当たった。なんと、7月3週目は世間一般で言う「夏休み」ではないので、青春18切符が使えないのだ。非常に困った。中国地方まで車で行くのはペーパードライバーにはキツイ。

というか、人気の無い観光地に行く時点でこの程度のことは覚悟しておかなければならなかったのだ。JR西日本が1000人に「もし国内旅行に行くならどこへ行きたいか」というアンケートをとったら、中国地方と答えた人はわずか1%にすぎなかったというし。100人に聞いたら1人ですよ。「クイズ100人に聞きました」だったら欄外ですよ。そんなところをお得に回ろうなんて魂胆が間違っていたのだろうか。で、何か良い策は無いかと思ってネットを調べてたら「周遊きっぷ」なるものがあるらしい。なかなかお得っぽいし、行き帰りの経路が割引になり、途中下車いくらでもOKってのもグッド。これを買うことにしよう。

これで旅に必要な要素「衣・足・住」はほぼ解決したといって良いだろう。「衣」とは、その名の通り衣類。夏だからテキトーにホテルで洗って干しておけば次の日には着れるようになるから、問題なし。「足」とは交通手段。周遊きっぷを使うことにしたので、これも問題なし。「住」はぼうふら氏宅とその辺のビジネスホテルを使えば良いので、これもまた問題なし。よし、そうと決まれば早速ガイドブック&周遊切符の範囲と相談して行きたい所を決めるとしよう。

大まかな道程

大阪→岡山→広島→山口(しばらくぶらぶら)→島根→鳥取→兵庫→京都→大阪。この途中の観光地をピックアップしていったら、小目標はおのずと浮かび上がる。さて、逝くか。女性関係で失敗しないように。この前の旅では危うく警察に捕まりそうになったからなぁ……とかなんとか思いながら1日目へ続く

今回の旅でも女性(?)関係でかなり危ない目にあいましたが、それはまた後ほど。